「わかる授業」と「わからない授業」の違いとは?

塾に通う生徒の多くは、学校の授業だけでは理解しきれなかった内容を補うために来ています。つまり、塾講師には「学校より分かりやすく教える」という明確なミッションがあります。では、「わかる授業」はどのように設計すればよいのでしょうか?

本記事では、授業を組み立てる際に押さえるべき5つのステップを紹介します。経験の浅い新人講師から、授業の質を高めたいベテラン講師まで、すぐに実践できる内容です。

ステップ1:生徒の「現在地」を把握する

授業を設計する前に、まず生徒がどこまで理解できているかを確認することが不可欠です。同じ学年でも、理解度には大きな個人差があります。

  • 前回の授業の復習問題を3〜5分で解かせる
  • 「この単元で一番難しいと感じるところはどこ?」と質問する
  • テストや宿題の誤答パターンを事前に分析する

この「診断」のステップを省くと、生徒が既に知っていることを繰り返したり、逆に理解できていない状態で先に進んでしまうリスクがあります。

ステップ2:ゴール(到達目標)を明確に設定する

「今日の授業が終わったら、○○ができるようになる」という具体的なゴールを設定します。ゴールはできるだけ小さく、測定可能なものにしましょう。

  • ❌ 悪い例:「二次方程式を理解する」
  • ✅ 良い例:「因数分解を使って二次方程式を解けるようになる」

授業の冒頭でこのゴールを生徒と共有することで、生徒自身も「何を学ぶのか」を意識しながら授業を受けられます。

ステップ3:「説明→例題→演習」の流れを守る

効果的な授業の基本構成は、次の3段階です。

  1. 説明(インプット):概念や公式を分かりやすく解説する。板書は整理された構造で。
  2. 例題(モデル):講師が解き方を実演する。「なぜこうするのか」の理由を必ず説明する。
  3. 演習(アウトプット):生徒自身に問題を解かせる。このときは口を出しすぎず、詰まったところだけヒントを与える。

多くの新人講師が犯しがちなミスは、「説明」に時間をかけすぎて「演習」が不足することです。アウトプットの時間を全体の40〜50%確保することを意識しましょう。

ステップ4:「なぜ?」を引き出す発問を使う

一方的な説明は、生徒を受け身にさせます。授業中に発問(質問)を意図的に挟むことで、生徒の思考を活性化させましょう。

  • 「この次はどうすると思う?」(予測させる)
  • 「なんでこの式が成り立つと思う?」(根拠を考えさせる)
  • 「自分の言葉で説明してみて」(理解を確認する)

答えられなくても問題ありません。「考える時間を与える」こと自体が、深い理解への近道です。

ステップ5:授業の終わりに「振り返り」を行う

授業の最後5分は、必ず振り返りの時間にしましょう。

  • 今日学んだことを1〜2行でノートに書かせる
  • 「今日の授業で一番難しかったのは?」と口頭で確認する
  • 次回の宿題と予告を伝える

振り返りは、記憶の定着率を高めるだけでなく、講師にとっても「今日の授業のどこが伝わったか・伝わらなかったか」を把握できる貴重な機会です。

まとめ

「わかる授業」は、才能ではなく設計の問題です。生徒の現在地の把握→ゴール設定→説明・例題・演習→発問→振り返り、この5ステップを意識するだけで、授業の質は大きく変わります。まずは次の1コマから、一つだけ意識して実践してみてください。